~THE CREATOR~

思いが想いに
         想像が創造へ
                  創作という作業

                            それはまさに業


             
僕らは創造主だ 

2011年1月24日月曜日

道に迷ったとき

海賊王の村、そしてロッテルダムを跡にしたタクとユウガは次の目的地であるアムステルダムに向かって再び自転車を漕ぎ出した。あいにくこの日も雨が降り、風も少し強かった。
サイクリングロードの途中にある標識と自分達の持っている地図を照らし合わせ、何度も何度も現在位置と目的地を確認する。しかし、それでも道に迷うこともあり、その度にお互いの意見を交換し合い、進路を決めていく。
「どっちかな」
「とりあえず右に曲がって違うようようだったら戻りましょう」
迷う理由は標識が存在しない場所での分岐点、それから自分たちが標識を見過ごしていたときである。
地図を広げるも、雨と風であおられそれはどんどんボロボロになっていく。自分たちが地図に記したマーキングですら滲んでかすれている。土地の名前はオランダ語。自分たちでは読めないし、発音すらできない。スペルの頭3文字だけを自分達の頭に入れ、それを道路でずっと追いかける。
「あれ?標識に書いてない」
「さっきの標識の所なんて書いてましたっけ?」
「Zから始まるやつ」
少しの沈黙のあと、ユウガが動きだした。
「じゃあ、俺前の標識見に行ってきます。兄さんはココで待っててください」
そう言うとユウガは逆風の中400mぐらい直線が続く前の標識を目指して走り出した。
タクはしばらく地図を確認しつつ、休憩させてもらうことにした。
ロッテルダムから走って約4時間、延々と道が続きまわりの景色は道路と木、そして畑しかなく、人の住む場所はやはり限られた地域だ。
タクは小休憩を終えユウガが戻っていった方向へ走り出した。
逆風が強く自転車が重い。ユウガはどうやら標識を確認したようだ。こっちに向かってきている。
タクがユウガのほうへ行くよりも早く、ユウガがタクの元にたどり着いた。向こうは追い風だ。行くよりも帰ってくる方が楽だったのだろう。
「むこうで待っててくれてよかったのに」
「どうだった?」
再び地図を広げ、現在位置を確認する。
「たぶんあってます。ココに向かってるんで今このあたりだと思います」
地図に表記されている文字はZoezermeer。
「じゃあ、この道をフォローして次の標識でまた確認しよう」
「了解です」
しばらくして気がつけば雨が止みかけていた。

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