彼の名前はカルロス。タクとユウガが途中で道に迷っていると、道の後ろから現れたラテン系の顔をした男性だ。彼が少し道案内をしてくれることになり旅の仲間に加わった。
タクとユウガは長い道のりを自転車で走り、話す話題もなくなってきていたので、カルロスの登場は旅に刺激を加えてくれた。しかも、彼は30年代で仕事をやめて、もう5週間ぐらい自転車の旅に出ているという話だった。スペインから自転車旅行だ。自転車の使用もなかなかプロフェッショナルな感じになっており、ハンドルの所には走行距離や時間、速度など表すメーターがあり、食事や休憩の目安にしているようだった。彼いわく少し食べて走り、また少し食べては走るというやり方がいいといっていた。お腹いっぱいに食べてしまうと、それだけ体重が増え、余計にエネルギーを消費するという話だった。
この日は風の勢いがかなり強く、進行方向に対して逆風が常に吹いていた。
気づけば二人との距離はこんなに離れてしまっていた。必死にペダルを漕ぐも、逆風のせいで一向に進まない。そこで、タクはカルロスの走り方真似てみた。彼は変速ギアを何度も何度もガチャガチャと変え道の状態によって自らの走り方を変えていたのだった。様子を見てみるとペダルを踏む回数が多い。という事はギアが軽い状態になっているということだ。車で言えば1速、2速か。
ペダルを踏み込む回数は多いが、それでも逆風に負けずにスイスイと進んでいる。それまでタクは4速の状態で必死だったので、時には立ち漕ぎ状態だ。状態を起こしてしまうとさらに風の影響を受けてしまい、走行が遅くなる。そして、2速に落として走ってみるとなんと体に掛かる負荷が和らぎ走りやすくなったのだった。
(お、全然違う!!)
まねるは学びである。
そんな昔の言葉があったと思うが、まさにそれを体感した瞬間だった。
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